反応型PVOH Zシリーズ

反応型PVOH Zシリーズをご紹介します。

ゴーセネックス™Zシリーズ

分子内に反応性に優れたアセトアセチル基を有する特殊変性PVOHです。

ゴーセネックスZシリーズは、アセトアセチル基の優れた反応性を利用し、コート剤、乳化、接着剤、バインダーなどの工業原料、加工剤として、国内はもとより世界各国のユーザーによりご愛顧いただいております。

化学構造イメージ図

ゴーセネックスZの科学構造イメージ図

特徴

・様々な架橋性を有しています。
– 架橋剤の添加による架橋
– 熱処理による自己架橋
– UV架橋(水溶液または含水状態で処理)
・保護コロイド能、界面活性能を有します。
・特に極性表面に対して優れた接着性能を示します。
・キレート生成能を有しています。
・架橋構造はアルカリで分解可能です。

架橋反応

品種と規格

品種ケン化度(mol %)粘度*1(mPs・s)
Z-10098.5以上4.5~6.0
Z-20099.0以上11.5~14.0
Z-20599.0以上11.5~14.0
Z-21095.0~97.011.5~15.0
Z-22090.5~92.511.5~15.0
Z-30098.0~99.024.0~30.0
Z-32092.0~94.019.0~24.0
Z-41097.5~98.543.5~58.5

*1 : 4 % 水溶液、20℃

ゴーセネックス™Zの応用例

乳化剤への応用

酢酸ビニル系エマルションの乳化剤として用いますと、従来のPVOHでは得られない高耐水接着強度のエマルションが得られます。

コーティング剤への応用

耐水強度を必要とする塗工紙、非塗工紙等への需要が拡大しており、 感熱紙・インクジェット用紙などのコーティング剤として利用されています。

接着剤、バインダーへの応用

ゴーセネックスZは各種材質との接着性に優れ、かつ耐水性が付与される為、接着剤やバインダーとしての応用も可能です。

推奨架橋剤(Safelink™ SPM-01)

Safelink™ SPM-01は、当社独自技術により開発したゴーセネックス™ Z用の新規架橋剤です。 粉末タイプならびに10%の水溶液タイプをご用意しております。

特徴

・ゴーセネックス™ Zの架橋剤として優れた架橋性を発揮します。
・その他の架橋剤に比べ低毒性であり、安全性に優れています。
・配合後のポットライフが長く、取扱いが容易です。
・架橋後の皮膜は、加熱や経時により着色(黄色着色)しにくい特徴を有しています。

Sefelink™ SPM-01の架橋性能

架橋剤添加量 *1pH溶出率(%) *2ポットライフ *3YI値 *4
Safelink™ SPM-0155.037日以上4
GIyoxal14.467日12

*1. 有効成分(部)/Z-200
*2. 乾燥皮膜を70℃で 5分間熱処理後、80℃の温水で1時間抽出した際の溶出率
*3. 23℃で7%の水溶液粘度が初期粘度の2倍になるまでの時間を測定
*4. 膜厚:100μm, 40℃,90%RHにて、7日間放置後のYI値(NIPPON DENSYOKU Σ90)

その他の架橋剤

架橋剤種商品名化学品名取扱い会社添加量 *1pH溶出率(%) *2ポットライフ *3(hr)
アミンMXDAMethaxylenediamin三菱ガス化学株式会社310.5200.1
1,3-BAC1,3-bis
(aminomethyl)
cyclohexane
310.5200.1
ヒドラジドADHAdipoyldihydrazide大塚化学株式会社35.4100 1)0.1
APA-280 35.4150.1
アルデヒドSEQUAREZ 755Polyol Carbonyl AdductOMNOVA Solutions34.3109
金属塩ZIRCOZOL ZC-2ZrO(OH)ClnH2O第一希元素化学工業
株式会社
51.93>168
ZIRCOZOL AC-7(NH₄)₂ZrO (CO₃)₂54.820 2)>168

*1:有効成分(部)/Z-200
*2:乾燥皮膜を70℃で5分間熱処理後、80℃の温水で1時間抽出した際の溶出率
*3:40℃で10%の水溶液粘度が初期粘度の2倍になるまでの時間を測定
1):冷水には難溶の皮膜を形成
2):90℃での溶出試験結果

ゴーセネックス™ZのEm使用例

 エマルション番号1234
重合処方Z-210(部)4
Z-220(部)3
N-300(部)5
GM-14(部)3
酢酸ビニル(部)36374547
水(部)60605050
重合開始剤APSAPSHPO/TAAPS
物性評価蒸発残分(%)40405050
粘度(mPa・s, 25°C)15,60027,30013,00053,000
pH4.34.24.54
見かけグラフト化率(%)767642
凍解安定性(回数)5<5<05<
耐水接着試験13hr95hr××

(注)
(1)APS:過硫酸アンモニウム
(2)みかけグラフト化率:20℃で風乾したEmフィルムを40℃アセトン×8hr、80℃熱水×8hrの処理をした後の抽出残分を測定。
(3)耐水接着試験は、エマルションをカバ材の被着面両面にそれぞれ100g/m2塗布した後、 200gf/cm2で24時間圧締、除圧後24時間放置したサンプルを試験片として、沸騰水中に浸漬し、接着面が剥離するまでの時間を測定。

ゴーセネックス™Zを乳化剤として使用した酢酸ビニルエマルションの物性

重合組成比エマルション物性見かけ
グラフト化率 (%)
粘度(mPa・s)S.V.I不揮発分
(%)
Z-200:4部開始剤(APS)
:0.08部
12,0000.54073
VAC:36部Buffer (NaOAc)
:0.02部
純水:60部 
Z-100:5部開始剤(APS)
:0.08部
2,3000.35069
VAC:45部Buffer (NaOAc)
:0.02部
純水:50部 

粘度:B型粘度計、10rpm、25℃
S.V.I:log(2.5rpmでの粘度/20rpmでの粘度)÷0.903より求めた。
不揮発分:試料を105℃、3hr乾燥して求めた。
みかけグラフト化率:20℃で風乾したEmフィルムを40℃アセトン×8hr、80℃熱水×8hrの処理を2回繰り返した後の抽出残分を測定。
*GM-14使用Em.(固形分55 % )のみかけグラフト化率は40~50 %

UV架橋性

ゴーセネックスZは、含水状態でUV照射することで架橋します。

溶解、貯蔵法

ゴーセネックスZの溶解方法
常温水に撹拌しながら投入します。直ちに昇温し、さらに撹拌を続けながら90~95℃で30~60分保ち、溶解して下さい。
ゴーセネックスZの貯蔵方法
水溶液は長期間、放置により粘度が上昇する等の変化を起こすことがあります。
また、鉄錆、金属イオン等の混入によって着色、増粘を起こすこともありますのでご留意ください。
注意
  • 消泡剤、防錆剤、防腐剤などの配合に際しては、配合する薬品の取り扱い説明書をご覧ください。
  • 高温多湿下での貯蔵は、製品がブロック化したり変質する恐れがありますので、避けてください。
  • 通常の保管取り扱い上は安定ですが、反応性に富む官能基を有していますので、他の薬品との接触や混合は、不溶化、ゲル化等の原因となる事があります。ご留意ください。

ゴーセネックス™Zの排水負荷

樹脂COC(㎎/㎏) × 10⁴ DOC₅(㎎/㎏) × 10²
ゴーセネックス™Z9970
ゴーセノール™60~10050~100
コーンスターチ367,400

測定条件:試料濃度は0.1 % 水溶液
CODは過マンガン酸カリウム法 (JIS K 0102)  BOD5は5日間の BOD値。
測定:計量証明事業登録 大阪府第10013号 株式会社 大阪環境技術センター