反応型PVOH Zシリーズ
反応型PVOH Zシリーズをご紹介します。
ゴーセネックス™Zシリーズ
分子内に反応性に優れたアセトアセチル基を有する特殊変性PVOHです。
ゴーセネックス™Zシリーズは、アセトアセチル基の優れた反応性を利用し、コート剤、乳化、接着剤、バインダーなどの工業原料、加工剤として、国内はもとより世界各国のユーザーによりご愛顧いただいております。
化学構造イメージ図
特徴
・様々な架橋性を有しています。
– 架橋剤の添加による架橋
– 熱処理による自己架橋
– UV架橋(水溶液または含水状態で処理)
・保護コロイド能、界面活性能を有します。
・特に極性表面に対して優れた接着性能を示します。
・キレート生成能を有しています。
・架橋構造はアルカリで分解可能です。
品種と規格
品種 | ケン化度(mol %) | 粘度*1(mPs・s) |
Z-100 | 98.5以上 | 4.5~6.0 |
Z-200 | 99.0以上 | 11.5~14.0 |
Z-205 | 99.0以上 | 11.5~14.0 |
Z-210 | 95.0~97.0 | 11.5~15.0 |
Z-220 | 90.5~92.5 | 11.5~15.0 |
Z-300 | 98.0~99.0 | 24.0~30.0 |
Z-320 | 92.0~94.0 | 19.0~24.0 |
Z-410 | 97.5~98.5 | 43.5~58.5 |
*1 : 4 % 水溶液、20℃
ゴーセネックス™Zの応用例
乳化剤への応用
酢酸ビニル系エマルションの乳化剤として用いますと、従来のPVOHでは得られない高耐水接着強度のエマルションが得られます。
コーティング剤への応用
耐水強度を必要とする塗工紙、非塗工紙等への需要が拡大しており、 感熱紙・インクジェット用紙などのコーティング剤として利用されています。
接着剤、バインダーへの応用
ゴーセネックス™Zは各種材質との接着性に優れ、かつ耐水性が付与される為、接着剤やバインダーとしての応用も可能です。
推奨架橋剤(Safelink™ SPM-01)
Safelink™ SPM-01は、当社独自技術により開発したゴーセネックス™ Z用の新規架橋剤です。 粉末タイプならびに10%の水溶液タイプをご用意しております。
特徴
・ゴーセネックス™ Zの架橋剤として優れた架橋性を発揮します。
・その他の架橋剤に比べ低毒性であり、安全性に優れています。
・配合後のポットライフが長く、取扱いが容易です。
・架橋後の皮膜は、加熱や経時により着色(黄色着色)しにくい特徴を有しています。
Sefelink™ SPM-01の架橋性能
架橋剤 | 添加量 *1 | pH | 溶出率(%) *2 | ポットライフ *3 | YI値 *4 |
Safelink™ SPM-01 | 5 | 5.0 | 3 | 7日以上 | 4 |
GIyoxal | 1 | 4.4 | 6 | 7日 | 12 |
*1. 有効成分(部)/Z-200
*2. 乾燥皮膜を70℃で 5分間熱処理後、80℃の温水で1時間抽出した際の溶出率
*3. 23℃で7%の水溶液粘度が初期粘度の2倍になるまでの時間を測定
*4. 膜厚:100μm, 40℃,90%RHにて、7日間放置後のYI値(NIPPON DENSYOKU Σ90)
その他の架橋剤
架橋剤種 | 商品名 | 化学品名 | 取扱い会社 | 添加量 *1 | pH | 溶出率(%) *2 | ポットライフ *3(hr) |
アミン | MXDA | Methaxylenediamin | 三菱ガス化学株式会社 | 3 | 10.5 | 20 | 0.1 |
1,3-BAC | 1,3-bis (aminomethyl) cyclohexane | 3 | 10.5 | 20 | 0.1 | ||
ヒドラジド | ADH | Adipoyldihydrazide | 大塚化学株式会社 | 3 | 5.4 | 100 1) | 0.1 |
APA-280 | 3 | 5.4 | 15 | 0.1 | |||
アルデヒド | SEQUAREZ 755 | Polyol Carbonyl Adduct | OMNOVA Solutions | 3 | 4.3 | 10 | 9 |
金属塩 | ZIRCOZOL ZC-2 | ZrO(OH)ClnH2O | 第一希元素化学工業 株式会社 | 5 | 1.9 | 3 | >168 |
ZIRCOZOL AC-7 | (NH₄)₂ZrO (CO₃)₂ | 5 | 4.8 | 20 2) | >168 |
*1:有効成分(部)/Z-200
*2:乾燥皮膜を70℃で5分間熱処理後、80℃の温水で1時間抽出した際の溶出率
*3:40℃で10%の水溶液粘度が初期粘度の2倍になるまでの時間を測定
1):冷水には難溶の皮膜を形成
2):90℃での溶出試験結果
ゴーセネックス™ZのEm使用例
エマルション番号 | 1 | 2 | 3 | 4 | |
重合処方 | Z-210(部) | 4 | – | – | – |
Z-220(部) | – | 3 | – | – | |
N-300(部) | – | – | 5 | – | |
GM-14(部) | – | – | – | 3 | |
酢酸ビニル(部) | 36 | 37 | 45 | 47 | |
水(部) | 60 | 60 | 50 | 50 | |
重合開始剤 | APS | APS | HPO/TA | APS | |
物性評価 | 蒸発残分(%) | 40 | 40 | 50 | 50 |
粘度(mPa・s, 25°C) | 15,600 | 27,300 | 13,000 | 53,000 | |
pH | 4.3 | 4.2 | 4.5 | 4 | |
見かけグラフト化率(%) | 76 | 76 | – | 42 | |
凍解安定性(回数) | 5< | 5< | 0 | 5< | |
耐水接着試験 | 13hr | 95hr | × | × |
(注)
(1)APS:過硫酸アンモニウム
(2)みかけグラフト化率:20℃で風乾したEmフィルムを40℃アセトン×8hr、80℃熱水×8hrの処理をした後の抽出残分を測定。
(3)耐水接着試験は、エマルションをカバ材の被着面両面にそれぞれ100g/m2塗布した後、 200gf/cm2で24時間圧締、除圧後24時間放置したサンプルを試験片として、沸騰水中に浸漬し、接着面が剥離するまでの時間を測定。
ゴーセネックス™Zを乳化剤として使用した酢酸ビニルエマルションの物性
重合組成比 | エマルション物性 | 見かけ グラフト化率 (%) | |||
粘度(mPa・s) | S.V.I | 不揮発分 (%) | |||
Z-200:4部 | 開始剤(APS) :0.08部 | 12,000 | 0.5 | 40 | 73 |
VAC:36部 | Buffer (NaOAc) :0.02部 | ||||
純水:60部 | |||||
Z-100:5部 | 開始剤(APS) :0.08部 | 2,300 | 0.3 | 50 | 69 |
VAC:45部 | Buffer (NaOAc) :0.02部 | ||||
純水:50部 |
粘度:B型粘度計、10rpm、25℃
S.V.I:log(2.5rpmでの粘度/20rpmでの粘度)÷0.903より求めた。
不揮発分:試料を105℃、3hr乾燥して求めた。
みかけグラフト化率:20℃で風乾したEmフィルムを40℃アセトン×8hr、80℃熱水×8hrの処理を2回繰り返した後の抽出残分を測定。
*GM-14使用Em.(固形分55 % )のみかけグラフト化率は40~50 %
UV架橋性
ゴーセネックス™Zは、含水状態でUV照射することで架橋します。
溶解、貯蔵法
- ゴーセネックス™Zの溶解方法
- 常温水に撹拌しながら投入します。直ちに昇温し、さらに撹拌を続けながら90~95℃で30~60分保ち、溶解して下さい。
- ゴーセネックス™Zの貯蔵方法
- 水溶液は長期間、放置により粘度が上昇する等の変化を起こすことがあります。
また、鉄錆、金属イオン等の混入によって着色、増粘を起こすこともありますのでご留意ください。
- 注意
- 消泡剤、防錆剤、防腐剤などの配合に際しては、配合する薬品の取り扱い説明書をご覧ください。
- 高温多湿下での貯蔵は、製品がブロック化したり変質する恐れがありますので、避けてください。
- 通常の保管取り扱い上は安定ですが、反応性に富む官能基を有していますので、他の薬品との接触や混合は、不溶化、ゲル化等の原因となる事があります。ご留意ください。
ゴーセネックス™Zの排水負荷
樹脂 | COC(㎎/㎏) × 10⁴ | DOC₅(㎎/㎏) × 10² |
ゴーセネックス™Z | 99 | 70 |
ゴーセノール™ | 60~100 | 50~100 |
コーンスターチ | 36 | 7,400 |
測定条件:試料濃度は0.1 % 水溶液
CODは過マンガン酸カリウム法 (JIS K 0102) BOD5は5日間の BOD値。
測定:計量証明事業登録 大阪府第10013号 株式会社 大阪環境技術センター